2020年10月29日木曜日

Davidius Mystery (1)

ダビトサナエ属の謎(1)(Japanese only)

コロナ過のあおりで、ラオスへの道が絶たれ、必然的に国内のトンボをまた見るようになりました。もっとも名前を忘れてしまうほどの状態だったのですが、写真を撮るのに通っていると、意外にラオスと共通種も多いと、改めて再認識することになります。しかし、「あれ、こうだったっけか?」というような状況を観察することもあり、その分、新鮮さを感じたりします。また、納得いかないことがらも出てきます(同じ種なんだけどラオスと日本で違うなど)。以下はそのなかで気になったダビトサナエ属についてです。調べながら書きますので結論がどうなるかはわかりませんし、内容的にあまりおもしろくないものになりそうだと予感します。掲載間隔は少し開くかもしれません。関心があれば読んでください。

さて、下はごく普通のクロサナエの産卵です。渓流脇の苔むした石の上や草付きにホバリングしながら産卵をおこなう本属共通の産卵様式です。 

       クロサナエの産卵 いわき市三和町  2019.5.28 Oviposition of  Davidius fujiama 

一方ラオス でダビトサナエの1種Davidius fruhstorferiを撮影していた時、はたと気づいたことがありました。ラオスのダビトサナエ属は2種が記録されており、いずれも山深く標高800m以上の森林に生息し、非常に個体数が少ない種です(ベトナムでは多いようですが)。この中で、Davidius fruhstorferi の雄は非常に小型で、ヒメクロサナエが縄張りを張るような、水がしみ流れている斜面の石や枯葉などに止まって雌を待ちます。雌は飛来すると直接、斜面に止まり尾端をいきなり土に付けて産卵を始めます。ほとんど動かず、一定時間産卵するとわずかに飛んで、また尾端を土に付けて産卵します。この行動はヒメクロサナエの産卵と全く同じです。私が知る限り、このように土に直接産卵するサナエ類は世界中でヒメクロサナエ属だけであったように思います。同じダビトサナエ属でこれほど違った産卵生態を有することはいかにラオスと日本が離れているとはいえ、あり得るのでしょうか?何かちょっと引っ掛かり、今まで気にもしていなかった日本のダビドサナエ属との関係を詳しく見てみる必要を感じました。                     

          産卵場所の脇で雌を待つ Davidius fruhstorferi 雄 Phu San 2014.4.29                                                       
                     産卵する Davidius fruhstorferi 雌   Oviposition of Davidius fruhstorferi                      

                         同上 ditto

Currently, three species of the genus Davidius are known in Japan, all of which are endemic species. Two small size species are distributed in the highlands of Laos. The oviposition of this genus in Japan is a style in which eggs are dropped while hovering. On the other hand,  Davidius fruhstorferi in Laos was observed to land directly at the oviposition site and laying eggs on the soil surface. The male perched at the fallen leaves or dead branches at the spawning ground and waited for the female.  This behavior is oviposition-style to be seen in Lanthus fujiacus.  I was very interested in having different oviposition patterns within the same genus. 









                    

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